P015 滋賀県高島市の並木マネジメントにみる地域資源のまちづくりへの活かし方

滋賀県高島市の並木マネジメントにみる地域資源のまちづくりへの活かし方
〇川口将武1、浜野恒好2、赤澤宏樹3、加我宏之4
1 大阪産業大学 デザイン工学部 建築・環境デザイン学科
2 株式会社 中尾組
3 兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
4 大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科

要旨
本研究は,街路樹を活かしたまちづくりの可能性について考察することを目的として、滋賀県高島市の『メタセコイア並木』の育成管理および利活用方法に関する実態調査を行った。その結果,同市では、質の高い自然樹形管理と産官民協働による維持管理により地域に美しい四季景観がもたらされ、同市の知名度向上や観光者の増加につながっていること、加えて街路樹をモチーフとした土産物販売で得た収益を管理費へと循環させることにより持続可能なしくみを築いていることが明らかとなった。

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この投稿へのコメント

  1. 村居真緒 said on 2021年10月30日 at 6:37 PM

    観光といえば山や寺、商店街などが挙げられがちですが、並木という新たな視点からまちの活性につながるというのに非常に感心をもちました。実は私も訪れたことがあるのですが、メタセコイアの壮大さと景観の良さに感動しました。
    その点で、この地は観光地という印象が強いのですが、メタセコイア並木の育成に関わる組織以外の地域の人との関わりはどのような関係が予想されますでしょうか。もしお考えをお持ちでしたらお聞かせくださると嬉しいです。

    • 川口将武 said on 2021年10月31日 at 11:00 AM

      村居様、コメント・ご質問ありがとうございます。
      「メタセコイア並木の育成に関わる組織以外の地域の人との関わり」は、どのような関係が予想されますか?というご質問ですが、ヒアリング調査の中の意見交換から、
      ・持続可能性という観点から考えると、地域の子ども達に関わりをもってもらうことが重要だと考えます。近年の異常気象ともいえる暴風雨により、25m以上に大木化したメタセコイアが10本倒木したそうです。その補植をどうするかが課題になる中、実験的に昨年度末、地元の小学生と協働で植樹をしたそうです。そのことが故郷意識醸成の種になり、次の30年につながるのではと話をしていました。
      ・高質な並木の育成管理のためのコスト確保の点から考えると、メタセコイアチョコレートの寄付金付きの地域限定土産物のしくみで得られる寄付金は、日常的な清掃活動や軽剪定の維持費用をまかなえているとの事でした。そのようなことから地域内の人に留まらず、メタセコイア並木の育成に関心をもつ人々が、自分のできる事を選択肢として増やすことが重要であると考えます。
      ・メタセコイアの壮大さと四季の景観の美しさ等がSNS等を媒介に紹介されるにつれ、紅葉時期などに多くの観光客が押し寄せオーバーツーリズム状態になっているようです。大きな事故は発生していないものの車道にはみ出し写真撮影をされたり、交通渋滞や路上駐停車等が発生し、地域住民の生活にとっては課題になっているとの事でした。スキー、湖水浴、野外活動、観光農園など観光によりまちづくりを進めてきた歴史をもっているため、地域住民の理解は少なからずあると想像できますが、どのように改善するかを地域全体で検討する時期にきているとも思います。

  2. 曽和治好(武庫川女子大学・景観建築学科) said on 2021年10月31日 at 11:52 AM

    高島市を対象地とした構想・計画・設計の授業を実施している関係から、高島市におけるマキノのメタセコイヤの存在感が大きいことに驚くとともに、多くの観光者が訪れ、思い思いに写真撮影している様を見るにつけ、並木が持つ大きな可能性を感じておりました。さらに、このメタセコイヤ並木は市街地に隣接するわけではなく、建築物が少ない周辺環境の中に独立して存在する「オブジェ」のような存在であることにも、従来の市街地型の並木との違いを感じておりました。これからの地域のランドスケープ・デザインのあり方を考える際の、ランドスケープ資産の活用展開という視点から、豊かな示唆を含んだ事例かと思います。さらに今回のご報告を通じて、多様なステークホルダーの協働により、現在の活況が実現していることを知ることができました。ありがとうございました。

  3. 川口将武 said on 2021年10月31日 at 3:15 PM

    曽和先生、コメントありがとうございます。
    “メタセコイヤ並木は市街地に隣接するわけではなく、建築物が少ない周辺環境の中に独立して存在する「オブジェ」のような存在である(中略)従来の市街地型の並木との違いを感じる。”との事、私も同じように感じておりました。
    扇状地に一直線で2.4kmの道をまっすぐに通されていること、周辺が果樹園や田んぼであることで水平・垂直の関係がより強調されることなど、地形的な環境条件が「オブジェ」性を際立たせるように思います。
    加えて、メタセコイア1本1本の目標樹形を自然樹形に設定して、観光栗園の木々を育成管理する果樹生産組合の方々が、普段の果樹管理に裏打ちされた技術をもって、丁寧にメタセコイアを管理されていることも影響しているように思います。

  4. 広脇 淳 said on 2021年10月31日 at 3:58 PM

    街中の街路樹とは一線を画する存在だとは思いますが、地域のシンボル的ランドマークに街路樹がなりうることを示してくれていると思います。育成管理やPRも含め、地元、民間企業、行政の連携の良さを感じます。

    • 川口将武 said on 2021年10月31日 at 4:59 PM

      広脇様、コメントありがとうございます。
      道路並木や街路樹が地域のシンボル的ランドマークとなり得る要因やその地域への効果をさらに明らかにしていきたいと考えているます。今後ともご意見頂ければと存じます。

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