P012 プランター型屋上緑化における導入植物の植被率ならびに成長に影響する環境要因の推定

プランター型屋上緑化における導入植物の植被率ならびに成長に影響する環境要因の推定
〇河野遼人1、小宅由似1、岡部渉2、山本高広1、増田拓朗3
1 香川大学創造工学部
2 両備住宅株式会社
3 香川大学名誉教授

要旨
近年,都市部で問題視されているヒートアイランド現象の対策として,屋上緑化が広く実施されており,建築物の積載荷重制限および維持管理の課題解決のため開発が行われている.その中でもプランターを用いた屋上緑化は,従来の屋上緑化に比べ緑陰面積当たりの必要土壌量が少量で済む一方,乾燥リスクが高くなるというデメリットが考えられる.香川県が属する瀬戸内地域の温暖少雨な気候条件下では,他の地域に比べ乾燥リスクが高いため,特定の気候条件下での植被率に影響する環境要因について検討する必要がある.本研究では,プランターを用いた屋上緑化試験を行い,導入植物の植被率と土中温度・水分量,屋上の温湿度の測定を行う。

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この投稿へのコメント

  1. 村上修一 said on 2021年10月31日 at 11:10 AM

    温暖少雨の気候条件下における屋上緑化の植被率と環境要因の調査ということで,地域の気候条件に応じた屋上緑化のあり方を探る上で貴重な知見と存じます。本学会の技術報告集にも是非ご投稿頂ければと思います。瀬戸内地域では調査例が無いとのことですが,香川県をはじめ瀬戸内地域における屋上緑化施工の現場において,地域の気候条件に応じた工夫が行われている,といったことはありますでしょうか?

    • 河野遼人 said on 2021年10月31日 at 3:54 PM

      村上修一様

      コメント・ご質問ありがとうございます。

      瀬戸内地域における屋上緑化での気候条件に応じた工夫は行われているのかというご質問に対してご回答いたします。

      本研究と同じ実験場所、同じプランターを用いて行われた先行研究にて、スイカズラを用いたプランターで水分条件の良い底部での根の密集による2年目以降の成長不良が確認され、その対策として冬季に地上部の剪定、またはルーピングした根の突きほぐし、一部切除といった維持管理が提案されていました(坂本ほか 2012)。

      また、先行研究において、香川大学屋上でのプランターに備え付けられた水位計によって灌水したものと、香川銀行中新町ビル屋上にて同じプランターを使用し、日に3回自動で灌水したプランターでの植被率を比較した結果、夏季においては水位計による灌水では不十分であり、十分な灌水設備を整える必要があることも指摘されています(藤野ほか 2010)。

      現在の香川県内での屋上緑化の学術調査事例では、残念ながら本研究に用いたものと同じような構造のプランターを用いた事例は見当たりませんでした。屋上緑化事例の観察結果ではありますが、基本方針としては「乾燥に強い植物を使用する(常緑キリンソウなど)」「灌水設備を整備する」が見受けられます。

  2. 赤澤宏樹 said on 2021年10月31日 at 12:55 PM

    広場や橋上,植栽帯がない広幅員歩道など,屋上に留まらずプランター緑化が求められる場が増えてきているように思います。そこでは,他の利用との兼ね合いで,過度に繁茂しすぎないことが求められます。植物のためには良くないのですが,枯れないけれど繁茂もしすぎないといったコントロールはできるのでしょうか?悪条件下ですと,繁茂しすぎない措置が一気に生育悪化に傾くリスクが高いように感じます。

    • 小宅由似 said on 2021年10月31日 at 4:07 PM

      赤澤先生

      共同発表者の小宅(香大)より回答させて頂きます。村上先生のコメントに対して主発表者の河野が回答している通り、蒸散を抑える目的で強剪定の提案(坂本ほか 2012)もございます。他方、屋上緑化とは別の事例ですが、やはり強剪定は生育悪化に傾くリスクも高く、剪定強度については今後検討の必要があるように存じます。

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